漆喰

奈良にある伝説の漆喰!キトラ古墳の漆喰壁画の第五回公開を見てきた。

キトラ古墳壁画の公開に奈良県明日香村まで行ってきました。

奈良県明日香村は日本の漆喰の聖地です。

なぜか?というと、古代日本の歴史に造詣深い方はご存知でしょう。

キトラ古墳、高松塚古墳と1300年前の漆喰壁画が残っている古墳があるからなんです。

 

そのキトラ古墳の壁画公開に行ってきました。

壁画公開は文化庁が主催しており、

第5回公開ではキトラ古墳壁画体験館「四神の館」での公開です。

公開見学は予約制で

9:45〜11:30

11:30〜13:15

13:15〜15:00

15:00〜16:45

1日4部構成です。

 

公開見学まで時間があったので古墳壁画体験館を見学しました。体験館は通年オープンしています。

キトラ古墳は日本で二番目に発見された大陸風の壁画古墳で国の特別史跡に指定されています。

 

キトラ古墳の構造模型。キトラ古墳はこのような形状をしています。

外側の茶色い部分は土でできており、

版築で固めているそうです。

版築(はんちく)とは

石灰を混ぜた土を原材料に、つくりたい壁の両側を板で囲み枠を作り

板で挟まれた間に土を入れ、たたき棒や”たこ”と呼ばれる道具で、入れた土を突き硬く固める。

より頑丈にするために土に小石や砂利、藁や粘土を混ぜることもある。

板の高さいっぱいまで突き固めたら、板の上に新しく板を継ぎ足すか、

板を外し次の枠を作る。

こうしてまた土を入れて突き固める作業を続け、

数十段重ねることにより高い壁を作ることもできる。

目標の高さに達したら、枠板を外し完成です。

古代中国の黄河流域で用いられた工法です。

 

キトラ古墳のすごい!ところは、

石室内部は漆喰に壁画が描かれていることで有名です。

「白く輝く漆喰」というのがいいですね!

私たちも漆喰を塗っていてよく思うのは、

上に絵を描いたらうつくしいだろうなあと。

キトラ古墳の壁画も完成した当時は鮮やかだったことでしょう。

1300年前の同業者。

どのような漆喰が使われていたのか興味深いところですが、

まさか漆喰DIYという考え方が広まっているとは思わないでしょうね(笑)

 

さて、キトラ古墳に葬られている人は特定はされていませんが、

大柄な男性だったということや身分の高い人だったという様々なことが

これまでの研究でわかってきています。

 

石室の構造は18個の凝灰岩を組み合わせて構成されています。

 

実物を模して作られた石室。

 

装飾品、副葬品のデザインが凝っていますね。

 

 

キトラ古墳の漆喰は凝灰岩の上に壁画を塗っています。

 

壁画体験館で再現されているのは現代の漆喰でした。

体験館に行ったら触ってみてください。

 

 

キトラ古墳と高松塚古墳の違いとは

漆喰を内部に塗り、その上に絵が描かれているというのは同じなのですが、

高松塚古墳の方が有名ですね。

石材の数はキトラ古墳の方が多いですが、高松塚古墳の方が絵の数は多いです。

 

 

 

キトラ古墳はどうやって見つかったか?

1950年に道路工事をしている際に古墳が発見されたそうです。

1982年に基礎的な調査を実施。

キトラというのは地元の方が読んでいた呼称です。

昔はどのように呼ばれていたのでしょうかね。

 

発掘せずに内部が漆喰を調べたそうです。

ファイバースコープを使って調査している様子を

子供の頃TVで見た記憶があります。

 

土の中なので、ほぼ100%の湿度の状態で保存されていたようです。

まず、仮説保護覆屋をつくり、盗掘孔から内部を見たとの事。

 

漆喰が剥離して、生クリームのような状態だったそうです。

 

 

これは地中にあって外気から遮断された環境によるもの。

まずは画像で記録を残して

再現修復作業に着手します。

 

 

漆喰壁画を補強する目的で表うちと裏うちをします。

取り外しにはへらを使い壁画を外します。

漆喰が硬く剥がれない部分にダイヤモンドワイヤー・ソーを使います。

ダイヤモンドワイヤー・ソーは電子部品製造の道具ですね。

 

 修理には筆、ピンセット、へらが使用されました。

この作業はジグソーパズルですね。

しかし、漆喰は闘う相手では無く味方につけるものだと思います。

いや、この大変な作業は闘う相手かもしれません(汗)

 

くしゃみしたら吹き飛びそうですね。

 

1300年の時を超えることができ現代で当時を垣間見えることができるようになったのも関係者の努力の結果!

関わった方は勲章ものだと私は思いますね。

 

さて、このあとキトラ古墳壁画の公開(第5回)では

実物の西壁の白虎と天井の天文図の漆喰壁画が見学できました。

写真や動画はNGだったので共有するのは今回できません。

しかし、実物の漆喰壁を見て私の思う漆喰づくりの方向性が正しかったと確信しました。

 

ぜひ、古代のロマンをご自分の目で見て欲しいと思います。

 

 

おまけ:壁画の見学後は古墳まで行きました。

1300年前から漆喰が日本ですでに使われていて、

これからどこに行くのだろうか。

当時何を思い石室内に漆喰を塗ったのだろうか。

感慨深いです。

 

奈良県明日香村は確かに漆喰の聖地でした。

 

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追記:2018-03-28

3月9日、文化審議会の答申により、キトラ古墳の壁画(五面)と
キトラ古墳出土品(一括)が「重要文化財」に指定されることが決まりました。

キトラ古墳の壁画は、石室内にある、四神、十二支、天文図、
日月の壁画があり、四神は天の四方を司る神獣で、

東壁 縦112.1㎝ 横203.7㎝
西壁 縦112.8㎝ 横204.2㎝
南壁 縦95.7㎝ 横72.8㎝
北壁 縦112.2㎝ 横105.7㎝
天井 縦105.8㎝ 横169.3㎝

壁画は対応する方位に合わせて、東に青龍、西に白虎、南に朱雀、北に玄武と、
四神の図像全てが揃う古墳壁画は日本国内でキトラ古墳壁画のみです

(文化庁HPより引用)

https://www.nabunken.go.jp/shijin/notice/post-6.html

 

 

追記:2018-04-18

キトラ古墳壁画の公開(第7回)が事前申込制で決定しました。


公開日時:
平成30年5月19日(土)~6月17日(日)9:30~17:00

※閉室日:5月30日(水)・6月13日(水)

 

場所:文化庁 キトラ古墳壁画保存管理施設(キトラ古墳壁画体験館「四神の館」)

奈良県明日香村・国営飛鳥歴史公園キトラ古墳周辺地区

公開する壁画:東壁(青龍、十二支・寅)

主催:文化庁,独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所

入場料:無料(事前申込制)

 

キトラ古墳と同じ年代の漆喰壁がある建築物に法隆寺があります。

古くから残る漆喰をぜひ見てみてください。

【法隆寺】法隆寺の漆喰壁は世界最古の木造建築。世界最古の木造建築は法隆寺ということを知っていますか?この法隆寺にも漆喰壁は多くの部分で塗られています。 修学旅行や遠足などで法隆...

 

 

キトラ古墳壁画ついに国宝指定される

2019年7月23日付けで正式に国宝となりました。

 

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