漆喰にはリフォームから新築などでの失敗事例は多くあります。
これらの失敗は漆喰の特性などについての理解が不足していることが原因です。
また、DIYの初心者だけでなく住宅メーカーや工務店、1級建築士であってもこのような理解不足による失敗が見られます。
ここでは創業から77年もの間、自然素材100%の漆喰を作り続けているロハスウォールが「DIY」や「リフォーム」「新築物件」での失敗の原因や解決方法について解説します。
もくじ
漆喰で失敗する理由とは?
新築やリフォームで漆喰を使いたい場合には経験と技術を要するため、失敗することも少なくありません。以下に、漆喰で失敗する理由と具体的な事例を紹介します。
1、材料の選択ミス
漆喰にはさまざまな種類があり、用途によって選ぶべき種類が変わります。たとえば、安価な化学薬品を混ぜたものや品質の低い漆喰を選んだ場合、結果として経年劣化が早まることがあります。
2、工法の誤り
漆喰は塗り方や乾燥させ方によっても仕上がりが大きく変わります。塗りすぎたり、逆に塗り足りなかったりすると、割れや浮き、ヒビ割れなどの原因となります。また、乾燥の際に適切な温度と湿度を保つことが重要ですが、これらを無視した場合、漆喰が適切に硬化しない可能性があります。
3、下地処理のミス
漆喰は壁や天井などの下地の上に塗るものですが、下地の状態によっても仕上がりに影響します。例えば、下地が劣化していたり、古い塗料が残っていたりする場合、漆喰がしっかりと固定されず、剥がれ落ちる原因となります。また、下地の形状が不規則で凹凸が多いと、漆喰の厚みが均一にならず、見た目や強度に影響する可能性があります。
4、メンテナンスの不足
漆喰は一度塗れば終わりではなく、破損時の際にはメンテナンスが必要です。しかし、これを怠ったり、適切な方法で行わなかったりすると、漆喰の劣化を早めることになります。これら劣化を放置したままだと色落ちや剥がれの原因になります。
以上のように、漆喰は取り扱いに工夫と注意が必要な素材です。その美しさと機能性を長く保つためには、適切な材料選び、工法、基盤の処理、メンテナンスが欠かせません。
これら失敗の理由はいずれも、漆喰についての知識や理解がしっかりと持てていなかったことから起こっています。
化学物質を含む漆喰を簡単に見分ける方法とは
その商品自体にF☆☆☆☆のマークがあるかどうかで判別できます。
このF☆☆☆☆のマークは化学物質から出るホルムアルデヒドの放散量が0.12mg/l以下であることを示すマークです。
一般的な建築資材にはほとんど表示されているのが確認できることでしょう。
ぜひ調べてみてください。
F☆☆☆☆製品の問題点について
普通の建築資材では459種類もの化学物質が使われており、その中のホルムアルデヒドと呼ばれる1種類(1/459)の化学物質だけを規制しているのがF☆☆☆☆規格です。
そのため、F☆☆☆☆のマークがなかったり、自然素材を謳っている漆喰であっても化学物質が含まれているケースがあるので、必ず成分表を確認したりメーカーに詳しく問い合わせる必要があります。
このように漆喰の素材や配合といったメーカーによる違いを正しく理解できれいればいいのですが、
先ほども説明したように多くの場合に住宅メーカーや工務店、1級建築士であってもこれらの真実を正確に分かっていないといったことが多く、違いを後から知ったことにより失敗したと感じている人も少なくありません。
建築関係者によるこのような知識不足から、漆喰の性能を活かした施工を提案できていない場合なども見受けられます。
例えば、「天井に漆喰を塗れない」という業者がある一方で、私たちロハスウォールとしては天井に漆喰を塗るのは漆喰の効果を最大限発揮するためオススメです。
なぜなら、天井は面積も広く「調湿」「消臭」「抗菌」といった漆喰の性能が効果的にあらわれる場所だからです。
このように漆喰についての正しい知識と理解があることで、失敗や後悔のないリフォームが可能になります。
関連記事:製造メーカーによる違いを認識していないことが失敗を招く原因
関連記事:F☆☆☆☆と自然素材漆喰の違い
漆喰リフォームで失敗する原因とその事例
漆喰リフォームで失敗する原因は、漆喰への理解が不足していることや、それが理由で漆喰の選び方が間違っていたり、特徴を活かした施工ができていないことなどがあります。
ここでは漆喰リフォームで失敗する具体的な事例とその原因について詳しく解説します。
原因1:漆喰塗装の厚みが適切でない
塗った漆喰が薄すぎても、厚すぎてもダメで適切な厚みである必要があります。
こちらの写真は厚みが薄すぎる例ですが、このような状態だと下地が透けて見えてしまいます。
また、見た目の問題だけでなく厚みが薄いことで、強度が弱かったり、調湿性や抗菌性といった漆喰ならではの効果も弱くなってしまいます。
逆に、厚く塗りすぎることで割れに繋がることもあります。
何回かに分けて塗っている場合には大丈夫なのですが、一気に分厚く塗った場合には漆喰が乾燥していくときに蒸発する水分の幅も大きくなり、これが割れに繋がります。
また、あえて分厚く塗っているのであればいいのですが、初めてのDIYで知らず知らずの内に厚くなってしまった場合には、材料を無駄に使ってしまい材料費もかさみます。
多い方だと通常の4〜5倍もの量を使いすぎてしまっている方もいるため、DIYで塗りたい方はまずは基本知識を得ることが重要です。
原因2:ヒビ割れ、剥がれ、粉ふきが起こる
安いからと言って粉漆喰を水を混ぜ合わせて塗る場合に多い失敗として、ヒビ割れ、剥がれ、粉ふきなどがあります。
化学物質の入った漆喰を除く、天然の100%自然素材で作られた初めから練っている状態の漆喰ではあまりこういったことは起こらないのですが
粉から水を混ぜて漆喰を作るとなると、粉漆喰と水を混ぜ合わせる際に、割合や配合・水との相性が間違っていたりすることで、塗った後からひび割れ、剥がれ、粉ふきなどが起こります。
粉から塗れる状態の適切な漆喰を作るためには、長年の経験や原材料への正しい理解が必要になってくるのです。
原因3:天井に塗っていない
あえて天井には木を貼ったりなど、漆喰を天井に塗っていないといったことであればいいのですが、施工業者に「天井に漆喰は塗れない」「天井に塗ると落ちてくる」と言われるケースがあります。
DIYでも同様で、天井に塗るのは難しそうだからといって辞めてしまう方も多いのですが、天井に漆喰を塗ることはできます。
あまり知られていませんが、ちゃんとした道具を使うと天井は壁より塗るのが簡単です。
また、漆喰には調湿効果、抗菌効果、消臭効果など様々な効果がありますが、匂いや湿気は天井の方に上がっていくので、天井に塗ることは漆喰の効果を最大限発揮でき、効果性が高いのです。
実際これを知って天井に塗ればよかったと後から後悔する方も多いです。
漆喰DIYの失敗事例と理由・失敗しない方法とは?
漆喰のDIYでよくある失敗の1〜5位を以下にまとめました。
1位 途中で投げ出してしまう
2位 道具などの準備不足
3位 計画が立てれていない
4位 建築会社との意思疎通・連携不足
5位 難しい場所から塗ってしまう
これらそれぞれについての失敗の理由と失敗しない方法について解説します。
1位:途中で投げ出してしまう
DIYでいざ塗ってみると、難しくて途中で諦めてしまうといったことは非常に多いです。
具体的には「きれいに塗れずどうしたらいいか分からない」「なかなか進まない」といったようなケースです。
ネットなどでも漆喰の塗り方は解説されていますが、ブログや動画で見るのと実際に塗ってみるのでは大きく違います。
これは実際にやってみるとネットの情報だけでは、想像より難しかったという理由もありますが、そもそもDIYなどで初心者が塗る場合とプロが塗る方法に違いがあるといった理由もあります。
そのためいきなり本番ではなく、事前に塗る練習をするのがオススメです。
ロハスウォールでやっているDIY教室のような、実践型式で塗り方が学べるようなものもあるので、参加しておくと塗ることへの迷いもなくなります。
ロハスウォールのDIY教室では東京、大阪、愛知、岡山で開催しています。
直接の参加が難しい方でも、オンラインでの参加ができます。
コチラからご覧ください。
また、実際の作業では困ったときに相談できる人を確保しておくことや、一緒に作業してもらえる人を見つけておくことが初心者にはオススメの方法です。
私たちロハスウォールでも、プロと一緒に作業し分からないことがあればその場ですぐに聞けるような「インストラクター派遣サービス」をDIY初心者の方にはご活用いただいています。
2位:道具などの準備不足
DIYを進めるにあたって、漆喰の材料自体や漆喰を塗ることばかりに気がとられ、準備不足で作業が進めれなかったケースもDIYに多い失敗事例です。
その中でも特に、道具への知識をつけていないことで起きる準備不足が多いのです。
例えば、漆喰は通常コテを使って塗りますが、「コテ」とひとことに言っても多くの種類があります。
使用するコテが違っているだけで、上手く塗れない原因にもなりますし作業効率も落ちてしまいます。
先ずは、漆喰用のコテを使うことは最低限必要なことです。
その上でDIY初心者の方にはどんな場所でも対応でき、使い勝手のいい「剣先コテ」を用意しておくのがいいです。
ちなみに剣先コテとは写真のような先端の尖ったコテです。
剣先コテも種類がありますが、素人でも上手くなったと勘違いするほどの完成度が出せる
鏝(こて)をご紹介します。
3位:計画が立てれていない
行き当たりばったりで進めてしまい作業効率が悪くなってしまう人は多いですが、漆喰を塗る上で計画を立てて進めることはとても大事なことなのです。
このような行き当たりばったりの場合に多いのが、脚立、ハサミ、テープといった道具の準備ができていないばかりか、自身の技量にあった進捗計画ができておらず、作業が進まないケースです。
しっかりと計画を立てることで「自分なら一度の作業でどれくらい進められるか」や「必要なものは何か」「何人で塗るか?」「人数分の足場を揃えられるか?」といったような、全体を通じての計画を立てることで始めて見えてくることはたくさんあるので、事前計画を立てて作業を進めましょう。
DIYでは自分だけで悩んだり、何も知らないまま自己流で進めているとトラブルの原因です。不安な場合はDIYの経験豊富な専門家に相談するのが最短です。
4位:建築会社との意思疎通・連携不足
新築やリフォームに建築会社が入っている場合には、建築会社との意思の疎通が必須ですが、建築会社との意思の疎通ができていなくて、実際に進めると事前に思っていたのと違うケースが出てきます。
こちらも作業が進められなかったり、建築会社や工務店さんにも迷惑がかかってしまいますので、DIYを進める上で以下を確認しておくといいです。
・どこまで工事が進んだ段階でDIY開始するのか?完成検査終了後か?工期中にDIYするのか?
・道具の貸し借りはあるのか?
・養生の準備など役割分担はどうなっているか?
などを確認して作業の計画や準備をしっかりしておくことが大切です。
5位:難しい場所から塗ってしまう
スキルが必要な難しい場所から漆喰を塗ってしまい、手が止まってしまうケースは多いです。
DIY初心者で作業やコテを使うのに慣れていないうちは、塗りやすい場所から始めて慣れてきてから、難しいところを塗っていくのが、失敗もなく効率的に作業効率を高めるポイントです。
基本的にトイレなどの狭いところほど最初は塗るのが難しいです。
そのため、まずはリビングなど広い部屋の壁や天井などから塗り始めていくことが失敗をなくし効率的に作業を進めるポイントです。
新築物件で漆喰を塗って失敗した事例とは?
新築物件では建築段階でそのまま業者に任せて職人さんが漆喰を塗るケースがほとんどです。
そのため、新築物件である漆喰の失敗はほとんどの場合、建築業者からお客様への説明不足によって生じ、この説明不足は業者の知識不足であるケースが多いです。
工務店では社会的に職人不足や高齢化といった問題もあり、新築で漆喰を上手く扱える工務店での「技術継承が途切れてしまっている」「工法が変わっていて昔のやり方がマッチしない」といったことから、そもそものスタッフが漆喰の経験が少なく顧客に提案できないケースが増えています。
例えば、土壁の上からじゃないと漆喰は塗れないと主張している業者も少なからずいますが、実際には石膏ボードで壁や天井を作ってビニールクロスを張るのとほとんど同じ工程で、漆喰を塗ることは可能です。
また、漆喰の施工は工期が長くなるため工務店の資金繰りが悪化する可能性があるといったことから、経営方針として漆喰を勧めないといった裏事情もあります。
新築で漆喰を塗りたい方はこちらをご覧ください。
漆喰で失敗しないための4つのポイントについて
ここでは砂壁、外壁、ブロック塀、繊維壁に漆喰を塗る時の失敗しないためのポイントについて説明します。
塗る壁の種類によって注意点があるので、参考にしてください。
砂壁、繊維壁、土壁に漆喰を塗るときの失敗しないポイント
砂壁、繊維壁、土壁に漆喰を塗る時のポイントは2つです。
・下地の確認をする
・ガードシーラーを塗る
先ずは壁の状態を確認します。
軽く壁を押してみて動くかどうかを調べます。
もし動けば肌別れなど剥離をしている可能性があるため、上の写真のように繊維壁を剥がして塗っていく必要があります。
動かなければ、繊維壁を剥がす必要はありません。
また、いざ漆喰を塗る前に必ずシーラー材を塗るようにしてください。
シーラー材は塗る漆喰との相性があるため。漆喰の製造会社が推奨するものを使ってください。
シーラー材を塗らずにそのまま漆喰を塗ってしまうと、漆喰が変色したり、アクが出てしまったりします。
また、そもそも壁と漆喰の接着性が弱く塗れないため、接着性を高めるためにもシーラー材を塗る必要があります。
関連記事:漆喰を砂壁、繊維壁、綿壁、京土壁、にDIYで塗る際の下地チェック方法
外壁に漆喰を塗るときの失敗しないポイント
外壁に漆喰を塗る時のポイントは、すばやく塗ることです。
内壁に比べて塗る面積も大きいため、DIYでは中級者以上の方でないと難しいです。
塗る面積が大きいことで塗っている途中で乾いてきて、厚みにムラができてしまいます。また、外の作業となると風も当たるため乾きが特に早くなります。
そのため足場に注意しながら、素早く塗ることが失敗しないポイントです。
ブロック塀に漆喰を塗るときの失敗しないポイント
ブロック塀に漆喰を塗る時のポイントはモルタルで下地を作ることです。
ブロック塀に直接漆喰を塗るとカビや汚れを漆喰が吸着し、色ムラの原因になることと、段差を拾ってしまい仕上がりの表面に凸凹が出てしまいます。
しかし、先ず下地としてモルタルを塗ることで凹凸の段差をなくし、色ムラが出てこないようガードシーラーを塗ることで漆喰をキレイに塗ることができます。
また、ブロック塀の凹凸によってはいろんなやり方があるので、写真や動画を添付の上メーカーにご相談ください。
今回説明している内容に関する疑問点や質問などがあれば、ロハスウォールの無料Web相談サービスで相談ができます。
これ以外のことに関しても、リフォームやDIY、漆喰などに関することであればどんなことでも相談が可能です。