高松塚古墳を知っていますか?
高松塚古墳は日本最古の漆喰壁として国宝となっており有名です。
(高松塚古墳周辺地域は飛鳥歴史公園として国営で管理されています)
日本最古の漆喰壁と名高い、
奈良県高市明日香村にある「高松塚古墳」に行ってきました。
この明日香村は古墳が多いことで有名ですね。
高松塚古墳もキトラ古墳も石室内は「漆喰壁」というので有名です。
教科書にも載っているので覚えている方も多いでしょう。
もくじ
高松塚古墳の位置関係
高松塚古墳は奈良県明日香村にあり、
明日香村の遺跡を例えるならばエジプトにある
王家の谷のような多数の古墳群が存在している地域になります。
明日香村には多くの古墳以外にも飛鳥寺など
日本の歴史が多く詰まったエリアなのです。だから国営で管理されているんですね。
高松塚古墳からは車で約6分のところに、同じく約1300年前の漆喰壁があるキトラ古墳もあります。
奈良県明日香村は、私は日本の「漆喰の聖地」だと思っています。
聖地って色々ありますよね?
好きなアニメだったりゲームだったり。
ちなみにファイナルファンタジーにアイテムとして漆喰があるのを知っていますか?
もはやクラウド上にも漆喰があるのがすごい時代だと思います。
国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開見学
そんな歴史深い明日香村へと今回は平成29年度(第19回)
国宝高松塚古墳壁画修理作業室の公開見学に参加してきました。
修理作業室内では写真NGのため、見学の様子を文章にまとめました。
実物を見たい方は公開見学にぜひご参加ください。
まず、参加者は別室に集められ、高松塚古墳を紹介している動画を観ながら待機します。
この別室には専門のスタッフがいるためその場で質疑応答が可能でした。
スタッフは文化庁の人のようでした。
私も以前から気になっていた「漆喰につなぎ材(スサ)は入っていたのか?」という質問をしました。(答えはあとで)
何組かに別れての見学になるので
予定時間が来れば案内があり修理作業室まで移動します。
見学方法は修理作業室隣にある見学者用通路から二重ガラスを隔てて
見るという形式です。(壁画と同じ空間ではなくガラス越しに見るということです)
入る前に双眼鏡を貸してくれて修復作業が行われた壁が見えます。
キトラ古墳では修復作業について解説してくれるスタッフはいませんでしたが、
高松塚古墳では解説員がいるので質疑応答も可能です。
なので高松塚古墳を見てからキトラ古墳にいく方が良いでしょう。
高松塚古墳の漆喰壁
辻:漆喰は硬いのですか?
解説員:いいえボロボロです。例えるなら「おから」のような状態でした。
埋まっていた1300年のうちに水が染み込んだのが原因でしょう。
強度を復元する作業をしているくらいです。
辻:高松塚古墳の漆喰壁は何mm厚ですか?
解説員:高松塚古墳の壁画は凝灰岩で作られた石室内面に、厚み4mm〜7mmで塗られた漆喰の上に描かれています。
(注釈:この4mm〜7mmの厚みは蔵や城郭で漆喰を塗る厚みなのです。この頃からしっかりした技術が確立されていたのが分かります。)
辻:漆喰壁画は現代でいう「フレスコ画」技法でしょうか?
解説員:いいえ。違います。一回漆喰を塗って乾いたあと絵を描いた形跡があります。
辻:漆喰の下地は何ですか?何の上に漆喰を塗っているのですか?
解説員:凝灰岩でつくった石室内面に漆喰を塗っています。
辻:絵の色合いはどのような原材料で色を出しているのですか?
解説員:ベンガラや色土、鉱物性顔料、染料などがメインです。
月像は「銀箔」を使っています。
辻:漆喰の原材料にはスサ(繊維)は使われていたのですか?
解説員:スサについては、使っていた痕跡がありますが、
長年のうちに消失(分解?)されているようですね。
見たところスポンジケーキのように無数の穴が空いていました。
ここにスサ(繊維)があったと思われます。
高松塚古墳現在の外観
高松塚古墳壁画修理作業室公開見学の見学後、
時間があったので現地の古墳まで行ってみました。
公開見学は古墳近くの別会場です。
(雲ひとつもない青空の下で見る高松塚古墳)
こちらが高松塚古墳の現在の外観です。
芝生も生え、現在は遊歩道も整備されており
散歩をしながら明日香村の雰囲気を楽しめますよ。
(高松塚古墳の全体風景)
そもそも古墳ってお墓なのですが、高松塚古墳に入っているご本人もこうして
世界中からお墓を見に来られるとは思いもしなかったことでしょう。
1300年経ってもきっとさみしくないはずです。
20180428 追記しました。
高松塚古墳と同じ年代にキトラ古墳の壁画公開にも行ってきました。ぜひ見てみてください。